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本の読み方、選び方

事の順序としては「選ぶ」→「読む」なんだけど、こっちの方が語呂が良さそうだったので、このタイトルになりました。
今回のテーマは「本」です。 本を選ぶ、あるいは読むということについて、管理人の思うところを書きます。 Excel操作や関数の使い方については今回触れません。 が、独習するうえで「本選び」は避けて通れないので、しばしお付き合いください。

Excel入門書のオススメ

さっそくですが、管理人オススメのExcel入門書の紹介。
以前後輩のためにExcel入門書選びに付き合ったのですが、その際に選びました。 マイナビの『サクサクわかるExcel2013※1

サクサクわかるExcel2013 980円(税抜)
※1 サクサクわかるExcel2013 980円(税抜)

はじめて読むExcel本として、悪くないと思います。
仕事に必要そうなExcelの機能を幅広く紹介していて、基礎を身に付けるのにちょうど良いカンジですし、しかもその割に1ページ1ページの文字量が少ないので、読んでいてうんざりすることがありません。 画像多めなので直感的に理解しやすいですし、読みやすいです。
それに、解説する内容は1セクションにつきひとつ、しかも見開きで1セクション(一部4ページのところもあるけど)という構成で、細かくセクションが分けられているから、勉強を続けやすい。 細かく区切られていると、「今日はここまでにしておこう」と区切りをつけやすいですし、アキ時間の30分とか1時間とかを有効に使えますからね。 そしてそれが、「続けられる」ってことにつながっていく。 勉強でもダイエットでも、「続けられる」ってことが重要なんです。 その意味でこの本は、はじめてのExcel本に適しているな、と思いました。

僕は決してマイナビの回し者ではないのですが(笑)、Excelに限らず他のアプリケーションについても、マイナビの入門書はわかりやすいのが多いです。 僕自身も、PC関連で勉強する際の最初の一冊は、マイナビから選ぶことが多いです。

以上は管理人の個人的な見解です。
『サクサクわかるExcel2013』がみなさんに合うかどうかは、正直、わかりません。
本には、合う/合わないがあります。 みなさんは、みなさん自身に合う本を選ばなければなりません。 では、そのためにどうしたらよいか。 それを、以下、お話していこうと思います。

本を買って、勉強する

ということで、本選びについて語っていくんですけど、ただ、本選びについて語るときにはどうしても、「選んだ本でどんなふうに勉強するか」ってことも含めて考えていかないといけない。 だから、「本を買って、勉強する」という一連の場面について、以下の3ステップにまとめました。
一応は「Excelに入門する」というシーンを想定していますが、Excelだけでなく「自分にとって未知のジャンルに、はじめて手をつける」際にはそれなりに応用が利くと思います。

<入門書購入→学習の3ステップ>

  1. まず、軍資金5000円を用意します。 飲み会を2回くらいキャンセルすれば貯まるでしょう。
    これを持って、本屋さんに行きます。

  2. 次に、本選び。 棚の充実している、大きい本屋さんが良いでしょう。 たくさん本が並んでいると思いますが、棚の前で実際に手に取って、パラパラめくってみて、「良さそうだな」と思う本を3冊買います。
    選んだ本の価格によっては5000円では足りなくなっちゃうこともありますが、そういう場合は2冊でも可。 大事なのは複数購入することです。

  3. 本を買ったら、あとは勉強するだけです。 買った本のなかから適当に1冊選び、勉強をはじめます。
    Excel本を学習する際は、目を通すだけでなく、きちんと実際にパソコンを起動し手を動かしましょう。
    そして、ここからが重要ですが、勉強してて「つまんないな…」「おもしろくないな…」あるいは「何かこの本合わないな…」と感じたら、その本はそこで読むのをやめて、次の1冊をはじめましょう
    2冊目も合わなければ、ためらいなく3冊目へ。
    3冊もあれば、1コくらいは最後まで読み進められる本があるでしょう。

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コレ↑読んで、「なんで3冊も買わなアカンねん」とか「なんで5000円も使わなアカンのや」とか思う人、少なくないと思います。 でも、それには理由があって。 以下、説明します。

本を買うときのよくある失敗が、「自分に合わない本を買ってしまう」です。 特にやってしまいがちなのが、「背伸びしてむずかしい本を買ってしまう」というもの。 …むずかしいヤツを選んじゃう気持ちもわからなくはないんですよ。 タイトルに「はじめての~」とか「初心者でもわかる~」とかあると、ちょっと恥ずかしいし(笑)。 それに、たいていの人は自分の能力を過信しているから、ちょっとぐらいむずかしくてもなんとかなる、と思っている。 でも、コレやっちゃうと、むずかしい→ついていけない→勉強もうやーめた、の悪い流れにハマっちゃうことが多いんですよね。 だから、「自分に合った本を選ぶ」ってことが、まず大事になってくるワケで。
でも、それがなかなかむずかしい。 みんな自分がわからないですからね。 だから、「3冊買おうよ」なんです。 3冊あれば、1冊くらい相性の良いのがあるでしょうから。 …それは言い換えると、「数撃ちゃ当たる」ってことです。

でも、たいていの方は「数撃ちゃ当たる」方式に抵抗を感じると思うんですよ。 「数撃ちゃ当たる」ってことは、その分「ハズレを引く」ってことで、ハズレの分ムダにお金を使うことになるワケだし。 みんなハズレを引きたくないから、amazonのレビューとかが重宝されるワケですよね。
でも、…まず、もうとっくにみなさんの方でもわかってることだと思いますが、ネットの評価が高いからといって、それが自分に合うかどうかはわからない。 もちろんわたしは、「ネットのレビューを見るな!」と言ってるワケではありません。 どんどん見ましょう。 参考にしましょう。 でも、世間の評価と自分にとって合う/合わないは、別問題です。 世間が「やさしい」と言ってる本が、自分にはむずかしかったり、世間が「読みづらい」と言ってる本が、自分には読みやすかったりします。 だから、できれば実際に本屋さんに足を運んで、実際に手に取って、選んでほしいんですよね。 もちろん、「本屋さんが遠い」とか「本屋に寄ってる時間がない」とか人によって事情はあるので、ネット注文に頼らざるを得ないこともあるんだけど、けど、自分に合う本は最終的には自分で選ぶしかない。
だけど、…話は戻ってきちゃったけど、これがむずかしい。 特に、マジメな方は、「ハズレ本を引きたくない」「自分に合う1冊を、ピンポイントで選びたい」と考えちゃうから、悩んじゃうと思うんですよ。 だけど、僕に言わせれば、どの1冊にするか悩んでる時間がムダです。 「あれかこれか、どっちにしよう…」なんて長考してるヒマがあったら、2冊とも買っちゃえば良いんです。 吟味は後で、家でじっくりやれば良い。 どうせ本屋で中身を確認したくらいでは、その本の真価なんてわからないですからね。 エノキダくんクラスの人※2ならともかく。

※2 須賀原洋行さんのマンガ(『気分は形而上』か『それはエノキダ!』のどちらか)に「エノキダくん」というキャラが登場するのですが、彼のエピソード。
エノキダくんが大学受験の頃、参考書を買いに本屋さんへ行くのですが、…エノキダくんというのは常軌を逸した「こだわり主義」の人でして、参考書選びにおいても「一番良い、完ペキな参考書を、ただ一冊選びたい!」と考えてました。 なので、参考書選びに迷ってしまって、どの1冊にするか選べないんですよ。 毎日本屋さんに行っていろんな参考書を立ち読み(彼の場合「立ち読み」というよりは「熟読」レベルなんだけど)しては、どれにするかひたすら悩みぬき、結局1冊も参考書を買えない。 けど、膨大な量の参考書を立ち読みした結果、東大に入れるぐらいの学力が身についたというお話でした(もちろん、マンガの中の)。
(けっきょく東大受験には失敗したような…。 たしか「最初から順番に問題を解かなければならない」という強迫観念に駆られていて、最初の問題につまづいて時間切れ、東大に落ちた、とかじゃなかったかな?)
…まあ、こんな人、現実にはいないだろうけど。

で、本を複数買ったら、とりあえずテキトーに1冊目を選んで勉強を始めましょう。 われわれの目的は勉強することであって本を選ぶことではないのですから、さっさと勉強を始めちゃった方がトクです。 でね、合わなかったら、やめちゃえばよいんです。 サッサと次行っちゃいましょう。 まだ他にも本あるし。

…でも、マジメな人にとってはこれがまたむずかしい。 「本は最後まで読まなければならない」という固定観念に縛られている人は特にそうです。
これについては、考え方を変えてもらうしかありません。 合わない本をムリに続けていっても、時間のムダです。 われわれの目的は勉強すること、技術を身に付けることであって、合わない本とムリに格闘することではありません。 「この本ダメだな」と感じたら、サッサと次の本に乗り換えちゃえばいいんです。 何なら出戻りだっていつでも可能だし。
僕自身もかつては、「本は最後まで読まなければならない」と思ってました。 これが変わったきっかけは、学生時代、僕は文学部だったんだけど、大学の先生の、そのまた師匠にあたる人が、「本なんて、楽しいところだけ読んで、つまらないところは読み飛ばせばよい」といった趣旨のことを言ってたんですよ。 それ聞いて、「ああ、文学部の教授もこんなふうに考えるんだ、こんなふうに考えていいんだ」と思って、肩の力が抜けて。
もちろん、文学系のテキストと学習参考書では、若干話が違うのかもしれません。 だけど、楽しめないものをムリに続ける必要はない、という点では同じだと思っています。 読み始めた本がつまらなければ、スッパリ切り捨ててしまってよいんです。 他にも本はあるんですから。

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ただここで、「やっぱり3冊いっぺんに買う必要はないんじゃないの?」と思う人もいると思うんですよね。 3冊買って、1冊目でアタリを引いちゃったら、残り2冊はムダになっちゃう。 だから、「とりあえず1冊買って帰る→もしハズレだったら次の1冊を買いに行く」というやり方にした方が、余計なお金を使わなくて済むのではないでしょうか。
…うーん、たしかに(笑)。
ただ、財布には余裕をもって買い物に出かけた方がよいでしょう。
僕は上で「5000円」と言ったけど、「5000円」というのは単なる目安で実は8000円でも10000円でも良くて、大事なのは「3冊買うつもりで出かける」ってこと。 つまり、本屋に行くときは、結果として1冊しか買わないとしても、3冊買えるだけのお金を持って、「3冊買うつもり」で行く、ということ。 なぜかと言うと、気持ちに余裕をつくるためです。
例えば、2000円、しかもなけなしの2000円しかないとなると、本を選ぶ際に余計なことを考えてしまいます。 「ハズレ本は絶対引きたくない!」とか、「2000円以内の本から選ばなければ!」とか(Excel本で2000円以上するものは少ないけど)。 こういう邪念は本選びに悪影響を及ぼします。
また、はじめから「1冊だけ買うつもり」で出かけた場合、たいていの人は、1冊でカンペキな本を探そうとしてしまいます。 つまり、初級の内容から上級まで幅広く扱ったような1冊を買おうとしてしまいます。 こういう本って、…決して「悪い」と言ってるわけではないんですけど、どちらかというと2冊目以降に読むのに適してるんですよね。 それに、そういう本って、ちょっとむずかしめだったりするし。
複数買うつもりでいれば、こういう「ちょっとむずかしめの本」を買っちゃうにしても、それにプラスして、もうすこしOKラインを下げた本を買うことができるでしょう。 言い換えれば、「すこし謙虚な気持ちになれる」ってことなんです。
「自分に合う本」を見つけるのは、自分の直感、インスピレーションしかありません。 なので、できるだけ雑念の入らないように、財布と気持ちに余裕をもって、買い物に出かけてください。

「本を買う」というのは一種の投資です。 自分への投資。 だから、ハズレを引くこともあります。 それはある意味、しょうがない。 だけど、いいじゃないですか、1本でもアタリを引き当てることができるなら。 投資としては大成功です。 それに、ハズレ本も、まったくのムダかというと、そうではありません。 「こういう本が自分には合わないんだな」という良い経験になります。 経験を積んでいけばダメ本を選ぶ確率も低くなっていくはずなので、みなさんも、ハズレを恐れず、自分に合う1冊を見つけてみてください。

カバーは外します

さて、以下、自分の好みの話で恐縮なのですが、私の場合、本を買ったらたいてい、…何て言うんですかね、外側のあのペラペラ、「カバー」って言うんですかね、アレを外します※3

カバーを外したところ
※3 カバーを外したところ

なぜこうするかというと、わたくし、本を読んでいてカバーから中身が抜け落ちたり、あるいは、カバーがあると、手に持ったときのあのちょっと浮いた感じ? ああいうのにわたくし、ものすごいイラッとしちゃうんです。
勉強するときは、本は手にフィットしててほしい。 そのためには、カバーなんてない方がよい。 要するに、勉強する際ストレスとなる要素はできるだけ取り除いておきたいんですよ。
もちろん、カバー外すと本は汚れます。 見た目も貧乏臭くなります。 それがイヤ、と言う人もいます。 でも、わたしに言わせれば、そもそも本は「汚すもの」です。 本なんて、汚して汚して、クタクタになるまで使い込んで、そうやって内容を自分のものにしていくんです。 本はインテリアではありません。 実用品なんです。
一番つまんない考え方は、「カバー捨てると古本屋に売るときに値段が下がる」みたいな考え方です。
そういう考えは、百害あって一利もありませんので、一刻も早く捨てましょう

…もちろん僕も、家にある本全部のカバーを外してるわけじゃありません。 マンガとか小説とかはそのままです。 でも、勉強系の本は必ず外しますね。 こういう習慣は、受験生の頃に身につけました。 例えば私は学生の頃、英語の辞書、アレって箱、付いてますよね。 私はあの箱も捨てました。 だって辞書引くたびに箱から出して、そいで箱にしまって…、って、時間のムダじゃないですか。 箱ナシだと、曲がったり、ページが折れたりしますが、勉強にそんなことは関係ありません。 箱から出す/しまうで時間をロスすることの方が、よっぽど大きな損失です。 大事なのは「勉強すること」なんですよ。 辞書がボロボロになったらまた買えば良いんです、買えば。 「ノートと参考書はケチケチするな」ってウチの母親が言ってましたが、 まったくその通りだと思います。

線を引くか、引かないか

私は圧倒的に線を引く派です。 というのも、線を引くと勉強した気になるから(笑)。 正直、人間、線を引いたぐらいでは覚えないですよ。 だけど、線引いたりマーカー塗ったりすると、「勉強してる感」が出るじゃないですか。 そういうのが精神衛生上非常に良い(笑)。 「今、オレ、がんばってるな」みたいな。 勉強を続けるには、こういう小さいことが大事なんです。 書き込みなんかも効果的です。 なので、バンバン線引いて、ジャンジャン書き込みして、どんどん本を汚していってくれればと思います。 書き込みしすぎて「読みづらくなったなー」と思ったら、買い直せば良いんですよ、買い直せば(笑)。


以上、本の読み方・選び方について思うところを書きました。
紙の衰退が叫ばれて久しいですが、独習ツールとして紙の本が有効なのも確かです。 またネット上にも、優れた学習サイトがたくさんあります。 なのでみなさんも、勉強はExcel四十八手じゃなくてもできますので、自分に合った勉強法を見つけてください。 そして、Excelを身に付けていってくれればいいな。 そう思ってます。

Copyright(C)森田表計算